どうしても譲れなかったこと

tae | member, tae
18 2月 2011

「家出人」と自ら名乗る元気なAさんが中野に来たから
すぐに来いと言われた。

「体験入居で今晩お願いします」と言われたそうだ。

身元引受人さんの欄には、ご主人のお名前と実印が。
どうにも怪しいので、「ご主人は、今日のお泊りをご存じですか?
確認させて頂きたいのですが・・・」というと、どうにもダメだという。

内心、ここは介護が必要な人もお住まいなので、早くホテルを紹介しようと思った。

詳しくお話を聴くと、ご主人のDVに悩まされ続け家出して来たのだという。

民生委員さんにも、行政にも相談できないという。

事務のKさん「お困りなんだから、一晩泊ってもいいでしょう」
大家さん「別に問題ないでしょう」

私「お家の人に内緒で・・・というのは、絶対だめです。勝手に名前書いて、はんこ押しても、名前の本人が納得してなければ困ります。今日は何が何でもダメです。」

HNに住んでいる人の事がいろいろ頭を巡った。
眠れなくてヘルパーさんを呼ぶ人。
トイレに行くのに介助が必要な人。
俳諧してしまう人。
1人の夜勤の方が抱えるお仕事の大きさを思った。
1人しかいない夜勤の方が、身体的な介助を必要とする人のところに
行けなくなる・・・ことも出てくるかもしれない

ヘルパーさんに聞いてみた
「今の状況ではAさんの受入は無理です」と言われた。

私は納得したけれど、
事務のKさんと大家さんは、
「米持さんは薄情だ」と言った。HNが駆け込み寺になれれば、良いのかもしれない。だけれども、どうしても、今、介護を必要としている人、その仕事に携わる人がちゃんと仕事を出来るように・・・それを邪魔しちゃいけないと思った。
なんだか、どうしても、腑に落ちないことがあった。
Aさんをご主人に内緒でHNにお泊めするのが
どなたか1人のお役にでも立てるものなのか・・・・

お話が進むにつれ、娘さんのことが出て来た。「あのこは、なにがあっても私を大切にしてくれます」と言った。

そういう人がいてくれてよかった。と心からほっとした。なんとなくだけれども、だいじょうぶなのではないか・・・と思った。

私は薄情かもしれないけれど・・・・Aさんには交番の電話番号を渡した。私にはそんなことしかできなかった。

なんだ・・・このモヤモヤ

4 Comments

  1. yumi より:

    Aさんは、話を聞いてくれるところが欲しかった。何についても同情は良い結果をうまない。何でもいいですよ という訳にはいかない。そういう断片的な事はよくわかる。
    でも実際、だからそういう隙間からこぼれ落ちて、どうしようもなくなっていく事もたくさんある。
    もっと横に手をつなげないのだろうか。
    いろんな人が、横のつながりを持っていれば、もっとたくさんの事が可能になる。
    これはどこにいても思う事だ。

    社会は専門とか分担とかばかりで、手をつなぐ事をむしろ避けてきた。でも結局人が人を救うのだから、そのときそのときで、悩んでもやもやして、わからずじまいで、そうあったとしても、次はもうちょっと違う自分でいたいと願う。これは自分自身に思う事。

  2. tae より:

    「もっと横に手をつなげないのだろうか。」

    実は、ずーっと気になって仕方なくて、昨日朝、起きぬけに、弟夫婦に会いに行ってきました。

    二人とも病院勤めで、地域柄入院患者さんは高齢者ばかり。
    せっかく退院が決まっても、家庭のDVが予想される事例をたくさん見てきています。

    ●ある事例に関して、ドクターの見解はこうで、看護師の目が行きとどかない部分は、福祉士から話しを聴いて、OTの見解はこうで、最終的にそういうことを全部ふまえて、家族とソーシャルワーカーがお話して、こうすることにした。弟夫婦にとっては、当たり前の日常なのですが、私は、患者さん1人に対して、こんなにもたくさんの人が一同に関わっているんだ・・・・。と、改めて思いました。

    いろんな話しの中で、答えを言ってくれるわけではないのですけれど、ちょっと覚悟出来たことがあったので、これからまとめて、明日の朝、中野へ相談に行こうと思います。

    ひとつは、Aさんの娘さんと関われないだろうか。娘さんがキーパーソンとなって下されば、家族に内緒でお泊りすることにならない。体験入居にしても、本入居にしても、自分の時間と場所を確保することができるのではないか・・・・。もうひとつは、介護のK法人が市の事例検討会に出席するときに、このことを話してもらえないだろうか・・・無理のないように、少しずつでいいから、民生委員さんや、行政に関わってもらえるようにならないか・・・・・(私は、吉田の恵まれた環境に慣れてしまっているのか・・・月に一度は民生委員さんがきてくださったり、交番の方も週に一度は寄って下さったり・・)

    先週は、水漏れで天井が落ちたり、いろいろ報告書を書きました。

    Aさんのことがあって、ハッとしたのが、報告書を書いたら終わりみたいになってしまって、本当になんとかしたいことが、そのまま、ほっておかれてしまうこともあること・・・。

  3. tae より:

    いろいろ書き始めて・・・
    ご本人がどうされたいか・・・・

  4. kin より:

    たくさんの方が関わっている・・・はっとしました。
    Aさん、ご自身、きっとご自分の背景をデッサンされると、いつもは見えなかったこと何か・・・見えてくるかもしれないと・・・思いました。
    私・・・自分のこと、色々な背景をゆっくり見つめられる場所と時間・・・それはやはり外側にではなくて、自分の中にまず見いだせること・・・大切だと思いました。

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